北欧Nordicshop きまぐれミニコラム

北欧Nordicshopのミニコラム。お買い物につかれたらこのコラムで一服してください。

『ノルウェーの夏論』第2回 「季節の変わり目」

今月22日が夏至でした。一年間の一番日光の多い日だったこと、気づきましたか?

 

冬の暗い北欧では、この日光が溢れる日をお祝いする絶好の機会となります。中でもスウェーデン夏至祭が北欧で一番有名です。いっぱいの花に飾られた夏至柱の回りで踊ったり、花冠をかぶったり、屋外で親戚のみんなと一緒に祝宴を楽しんだり、とても華やかで素敵な祭りです。ノルウェーには、より質素な伝統があります。その中心になるのは、バイキング時代から受け継がれたと思われる夏至たき火になります。一番有名なのは、貿易港のベルゲン市のたるたき火です。

 

f:id:hokuonordic:20150701145659j:plain

ベルゲンのたるたき火

 

北欧に夏至の祭りなどが多いのは、夏至が一年の一番大切な変わり目になるからです。季節は光の加減でよく分かります。夏至は明るくなる季節が終わり、暗くなる季節の始まりです。暗い秋になるまでによく外で遊ぼうという気持ちは、日本で桜が散ってしまうまでに楽しくお花見をしたいと思うのと同じ気持ちとも言いえるのではないでしょうか。

 

北欧の夏の明るさはというと、北極圏の北にある24時間沈まない日の白夜がとても有名です。ノルウェーだと、この現象が見られるのは北ノルウェー地方で人口はわずか35万人くらいしかいません。すなわち、一般のノルウェー人の夏の夜は、たとえ日が沈んでも薄明りのような水色の夜の方が多いです。

 

f:id:hokuonordic:20150701145736j:plain

実家の真夏の景色、深夜3時ころ

 

前回(http://hokuonordic.hatenablog.com/entry/2015/06/15/000000)も語った通り、ノルウェー人は夏を精一杯楽しもうとします。夏の夜についても同じです。夏になると、大人も子供もいつもより遅くまで遊んでいます。夏の夜の過ごし方をきれいに表す、Vi skal ikkje sova burt sumarnatta (夏の夜を寝て過ごさない)という歌はとても有名です。歌として翻訳できることに自分の言語力は足りませんが、内容を伝えて見たいと思います。

 

明るいから、夏の夜を寝て過ごさない。淡い青空の下に、花畑の中を歩きながら露にぬれる。自然とのつながりを感じて、二人は朝までずっと一緒にいようと思う。

 

こういう風に、夏の夜にあるロマンスと素朴な幸せを表現することによって、典型的な夏の小唄になっています。

 

https://www.youtube.com/watch?v=uFLoXZ4uaig

https://www.youtube.com/watch?v=Enh1BRGrmpA

 

個人的には、長い間ずっと夏の明るい夜に楽しんできたことが2つあります。7月1日に誕生日がある親友は、郊外にある実家で友達のみんなとバースデーパーティーをしています。夜はホームパーティーでわくわくして、夜中の0時を過ぎたら全員が近くにある湖に行って、いきなりビーチパーティーになります。誰もいない自然の中、不思議な薄明の下、友達とワイワイ遊んで泳ぐのは、夏の最高の出来事になります。

 

f:id:hokuonordic:20150701145832j:plain

深夜1時、浮きシャチを持って行った友達二人

 

その一方、私の実家でのとても平穏な夜の過ごし方も大好きです。両親は、仕事の夏休みがあっても、6~7月の間はできるだけ実家を離れないようにしています。夏のハイライトは、夕日を見ることだからです。出身のトロンハイムには、夏至のころは日が夜11時半くらいに沈みます。実家から見える景色はちょうど沈むところに丘があるので、遅くても11時10分になります。晴れの日は両親が ベランダにデッキチェアを置いて、よく冷えた白ワインを一本開けてじっと空を見ながらあれやこれやをしゃべっています。1-2時間もそのまま座っているのは珍しくありません。実家にいるとき、必ず皆で一緒に幸せを感じながら日暮れをずっと見ます。実家のとても魅力的な習慣だと思っています。

 

f:id:hokuonordic:20150701145847j:plain

実家の夕日

 

海外に行ってから「明るくても寝れるの?」となんども聞かれました。実は、聞かれる前には一度も考えてないことでした。北欧ではベッドに入ると外の明るさは関係なく、寝る時間になる習慣があります。ノルウェー人の中にも暗くないと寝れないという人はいますが、そういう人は遮光カーテンを買っておくとみんなと一緒に暗い夜になるまでに精一杯楽しめます。

ノルウェーの不思議で素敵な明るい夏の夜は、楽しいことばかり。

嫌いになるなんて事は、きっとないでしょう!

 

ノルウェーの夏をイメージしながら、ノルウェーアイスティーを飲んでみませんか?北欧で人気のアイスティーの特徴は、甘くてさっぱりした味で、紅茶の苦味とのバランスを作ります。

 

北欧風アイスティー

 

このアイスティーには、甘い香りとさっぱりした味の北欧紅茶のセーデルブレンド(http://www.mg-nordic.jp/products/detail.php?product_id=208)がとても合います。

他のブレンドを使う場合、アッサムやイングリッシュブレックファスト等のタンニンが多くて苦い目の紅茶を避けたほうがいいです。

 <一人分>

1.お湯の½カップをマグカップに入れ、1カップ分の紅茶を入れる (セーデルブレンドの場合、2‐3グラム)

2.3‐4分間蒸らして、濃い目の紅茶を作る (蒸らす時間より、茶葉の量を増やして濃く作ったほうがおいしい。長く蒸らすと苦くなりやすい)

3.ホットのままで、砂糖を小さじ3~4杯入れて、よく混ぜる。レモンのスライスを1枚入れる。

4.マグカップに角氷を満たしアイスティーがよく冷えるまでかき混ぜる。

5.北欧風アイスティーの出来上がり!

 

甘くてフレッシュな味なので、暑い日には最適です。ホットで作るときのお湯の量を半分にして、レモンと砂糖を適量に増やせば、何人分も作れます。

 

f:id:hokuonordic:20150701145909j:plain

 

北欧夏至祭りの参考リンク

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91%E3%81%AE%E5%A4%8F%E8%87%B3%E7%A5%AD

https://sweden.se/culture-traditions/midsummer/(英語)

 

ノルウェーたき火の写真

https://www.flickr.com/photos/signe_karin/5864563697/

https://www.flickr.com/photos/29745454@N04/4736329424/

 

f:id:hokuonordic:20150612232023j:plain

Ingrid Helene Ludvigsen(イングリ・ヘレーネ・ルドヴィグセン)

自己紹介

私はノルウェートロンハイムで生まれました。人口が18万人の、3番目に大きい町です。幼少期はオーストラリアで過ごし、イギリスの大学では日本学を専攻して日本にも留学生として2年ほど滞在しました。その海外経験によって、ノルウェーの面白いところや、ちょっと意外なところがより分かるようになりました。現在、東京のBLANCWAYでウェブの仕事をしています。