北欧Nordicshop きまぐれミニコラム

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『ノルウェーの夏論』第3回 「ノルウェーの夏休み」

 7月に入ると、ノルウェー全国が完全に夏休みの感じになります。ノルウェーでは、夏休みということは、二つに分けています。


第一は「学校の休み」です。名前の通り、小学校から高校までの夏休みです。6月20日頃から8月20日頃まで、年によって8~9週間の休みが普通です。ヨーロッパにくらべたら、これはかなり早いです。南ヨーロッパでは、「夏」ということを一番感じる月は8月なのに対して、北欧では8月の月末はもう収穫の季節で、秋の気分になっています。


学生の夏休みの遊びは、家族や住む場所によってそれぞれ違いがあると考えられます。私の場合は、両親二人とも教師の仕事をしていた為、両親の夏休みは私とほぼ同じでした。しかし、両親が夏のノルウェーが大好きですので、海外旅行が非常に少なくて、7時間の運転で母の実家への旅と6時間半電車を乗って父の実家への旅が定番でした。夏休みの一番強い思い出は、暑い車に乗りながら、本を読んでいたことです。


もっと楽しい夏の遊びもあります。ノルウェーの人々が大好きなアウトドアのほか、さまざまな趣味をして過ごすサマーキャンプがあります。高校生以上だと、若者のための政党が、楽しい時間を過ごしながら政治や社会的な問題を勉強したり議論したりするサマーキャンプもあります。高校生は、「夏の仕事」と呼ばれる、夏の期間だけバイトをする習慣もあります。典型的な「夏の仕事」は道路沿いの露店で、時期の短いノルウェー産イチゴを売ることです。

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 世界中の学生が、いろいろな遊びをする夏休みがありますが、ノルウェーの第二の夏休みの種類は、もう少し珍しいことかもしれません。これは、「共通休み」という休みです。7月中、スタッフ全員が休むため、営業を3週間の間休止する会社がとても多いです。


この習慣の由来は戦間期ノルウェーに強かった製錬業にあるらしいです。労働者が休む時は、それぞれの期間に休んで低下した作業能力で製錬設備を経営するより、同時に休ませて設備を休止するほうが実用的で利益に効果的でした。このやり方が、工業と建設業をはじめ、さまざまの業界に広まりました。

 
営業を休止できない会社で働く人の場合、共通休みにならなくても夏休みは十分取れます。ノルウェーの雇用法による、みんながもらう25日の有給休日のうち、18日間連続して「主要休期間」として6月1日~9月30日の間に取る権利があります。ということで、洋服屋さんのノルウェーの元バイト先でも、マネージャーを含めて全員が夏の間にそれぞれ4週間の夏休みを取っていました。

 
こういう長く休む習慣は、さまざまな影響もあります。バイト先のような、ずっと営業する会社では、夏はバイトに任せるという会社が結構あります。「夏休みだ」ということがよくわかる業界のひとつは、メディアです。ジャーナリストや、その情報源になる政治家やビジネスも夏休みになるので、新聞の記事などがくだらない話題となり、新米記者が書いているということが、わかるようになります。 この様な期間のことを、どういう訳か「きゅうりの期間」と呼んでいます。イギリス英語では「Silly Season」と言います。

 
ノルウェー人のみんながいろいろなレジャーで夏を精一杯楽しむ習慣は、以前から夏休みが長期間あることから来たことか、ノルウェー人が夏を大切することが長い夏休みの由来になったのか、「卵が先か鶏が先か」のごとくよくわかりません。しかし、夏の間、みんなが休むということが現在のノルウェーの夏のリラックスした雰囲気の要因であることは明白です。

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Ingrid Helene Ludvigsen(イングリ・ヘレーネ・ルドヴィグセン)

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自己紹介

私はノルウェートロンハイムで生まれました。人口が18万人の、3番目に大きい町です。幼少期はオーストラリアで過ごし、イギリスの大学では日本学を専攻して日本にも留学生として2年ほど滞在しました。その海外経験によって、ノルウェーの面白いところや、ちょっと意外なところがより分かるようになりました。現在、東京のBLANCWAYでウェブの仕事をしています。

 

 

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