『日々を楽しむもの選び』第12回
北欧雑貨を輸入したい!と思う原点となったプロダクトはフィンランドで初めて出会ったこのハエたたきでした。
日本でも蒸し暑くなる6月ですが東京では昔ほどハエもあまり見かけなくなり、 この様なデザイン性と実用性を兼ね備えたハエたたきの出番が少ないのは少し寂しい気がします。
それでも部屋の壁にかけているだけで季節感が感じられるユーモア溢れるプロダクトはそう多くなく、 ずっとこのハエたたきが継承されて行く事を願って止みません。
このユニークなハエたたきのオリジナルデザインはフィンランドのデザイナー、Tarmoset Likki(タルモセット・リッキ)氏によるもので、 フィンランドのデザインミュージアムやMOMAのショップでも扱われるなど、国内外で高く評価されました。
リッキ氏引退により、この素晴らしいプロダクトが無くなってしまうのかと不安に思っていましたが、2010年よりフィンランド・トゥルク在住のクラフトマンである Toni Saikkonen(トニ・サイッコネン)氏がデザインを継承し、接着剤にいたるまで可能な限り自然に還る素材をセレクトし誠実な手仕事で世に送りだしています。
北欧の夏は短く、人々はその一瞬の命の恵みを慈しみハエや蚊にも愛情と親しみを感じています。
部屋に虫が入っても殺虫剤を撒くような事はせず、人にも環境にもやさしくありたいと考えています。
そのような風土であるからこそ、この実用的でユーモアあふれるハエたたきが生まれました。
従来の日本のように、決してハエや蚊をつぶす必要が無いのです。
何故ならこのハエたたきを振ると、しなやかな革で強い風が起こり、一時的にハエが脳震盪を起こし気を失います。
そこでそっと部屋の外に出してあげるのがフィンランド流ハエたたきの使い方です。
この風が百発百中だと評判となり国内では大人気です。
いよいよ夏になると、ヘルシンキの港では屋外マーケットが並び、そこにはお花、お野菜、果物、手工芸品、生活雑貨等が並びます。
その中にはリッキさんの商品がアテネのオリンピックで大盛況だった以来、必需品として色々な素材のものが売られてますが、私にとってはそのハエたたきが一番のように感じられます。
フィンランドでこの商品に出会った時、それを産み出した国の人々の文化や風土が宿っている事、 それがユーモアあふれるフォルムとなって世に生まれてきた事に新鮮さを覚え、北欧の商品を日本の皆様にご紹介するという仕事の原点となりました。
幼少の頃から北欧のデザインやプロダクトに囲まれて育つ。暮らしにまつわる、北欧の魅力ある商品を輸入し紹介している。今は誰にでも愛される息の長い魅力あるものに出会いたい、また大切にしてゆきたいと思っている。
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