ぶらり北欧、街あるき 第10回「北欧の乗り物」
「ぶらり北欧、街あるき」、
最終回の第10回は、「北欧の乗り物」です。
北欧に行くときは、いつもこのフィンエアーを使います。
デンマークがメインだとSAS(スカンジナビア航空)が便利ですが、
フィンランド中心なら、ヘルシンキ直行便があってお値段もリーズナブルなフィンエアーがおすすめです。
たまたまこの時は、ウニッコ柄がペイントされた機体でラッキー!テンションも上がってきます。
10時間ほどで到着しますが、
そのヘルシンキの乗り物といえば、とってもとってもお世話になっているこちらのトラムです。
新型の乗りやすい車両もありますが、
何といってもレトロな雰囲気の旧型車両が、
ヘルシンキの街にとてもマッチしていて素敵なんです。
空港から市街地に直行して大体16〜17時頃なのですが、
この写真の時は冬で空は真っ暗。
まばゆい光の中にトラムがガタゴトと登場すると、まるで遊園地に来たかのように思えてきます。
トラムはたくさんの路線があって、
コンパクトなヘルシンキの街を回るのに十分。
路線図とにらめっこしながら、乗りこなすのも楽しみの1つです。
それからヘルシンキには、1路線だけ(途中で分岐)ながら地下鉄もあります。
この写真はちょっと暗くて見にくいですが、電車の顔が横に広がった四角形で、
ぼてっとして何となくかわいらしいイメージなのですが、中は意外とこんな雰囲気です。
フィネル社の有名なポットをデザインした、アンティ・ヌルメスニエミによるもので、
朱色がかったレッドとゴールドのパイプがとても印象的で、これまた異空間に入り込んでしまったかのようです。
地下鉄の暗い雰囲気をかき消してくれるような、気分が高揚する秀逸なデザインですね。
ストックホルムの電車事情は、ヘルシンキと正反対。
トラムは観光路線と最近できた郊外を環状で結ぶ路線しかなく、地下鉄が発達しています。
いまいちな写真ですが、青と黄色を使ったスウェーデンらしい配色ですね。
こちらの郊外まで行く電車も青いラインが入っていてクールな印象。
このあたりのデザインの違いがキーポイントです。
ヘルシンキはかわいらしく、レトロで、ちょっとお茶目。
ストックホルムは、クールで、武骨で、がちっとした雰囲気を感じます。
長距離電車でも、ヘルシンキはこちら。
近づいてみると動物がデザインされているのがわかりますが、子供が喜びそうなかわいい図柄です。
対して、スウェーデンではこちら。
オールブラックの洗練された雰囲気だったり、まるでガンダムか何かのアニメに出てきそうなゴツゴツした感じだったり。
パトカーもそうです。
フィンランドは、POLIISI(ポリーシ)という響きもそうですが、丸っこい車体が穏やかな印象(失礼?)で、
スウェーデンではボルボ車を採用したいかにも警察らしい恰好でした。
商用車もいきましょう。
ヘルシンキではやっぱりかわいいキャラクターが(とりわけイチゴが気になります...)。
ストックホルムは勇猛だったり洗練されていたり。
どちらが良い悪いではないのですが、乗り物を観察することで、両国の国民性や雰囲気の違いが何となくわかってくるような気がします。
私たちは「北欧」とひとくくりに呼んでしまいますが、もともとの民族が違うので(お互いに行き来してきた歴史はありますが)、
それが色々なところに表れてくるのを観察するのも楽しいところです。
私は昔乗り物が大好きだったので、北欧でもついつい写真を撮ってしまいますが、何か1つに的を絞って見てみると面白いと思いますよ。
さて、番外編。
ストックホルムはけっこうな都会で、東京のようにトラムがほとんど無くなってしまいましたが、
スウェーデン第2の都市・イェーテボリは古き良きスウェーデンの雰囲気が漂う素敵な街。
街中の乗り物はトラムが中心ですが、レトロなデザインでお気に入りの1つです。
爽やかなブルーとホワイト、そして前面のガラスの上のひさしが、何となく水兵さんの帽子のように見えるのは、
大きな港町だからでしょうか。
また、ストックホルムも水辺が近く、多くの船が行き交う街です。
写真は、すぐ近くの野外博物館まで行く観光船的な船で、地下鉄/バスのフリーパスで気軽に乗ることができます。
フィンランドに行く大きなフェリーなどをぼーっと眺めるのも、買付中の気分転換に欠かせない時間になっています。
さて、ここまで10回にわたってお送りしてきた「ぶらり北欧、街あるき」、いかがだったでしょうか?
やはり現地在住の方には情報量は敵わないのでお恥ずかしい部分もありましたが・・・
ご覧いただいた皆さまが、北欧の街を歩いたような感覚を少しでも味わってもらえていたら幸いです。
長文・駄文失礼しましたが、お読みいただきありがとうございました。
・プロフィール
和田英朗
2007年から都内某インテリアショップに勤務、店長を歴任。
その時に出会った北欧食器に強く惹かれ、2012年に北欧ヴィンテージ専門のWEBSHOP「pippuri(ピップリ) http://www.pippuri.jp/」を立ち上げる。
年に1回程度、フィンランド・スウェーデンにて現地買付を行い、
1950〜80年代ならではの素朴な北欧デザインの素晴らしさを伝えるべく、催事にも積極的に出店している。